矯正治療を失敗しないために
歯科矯正治療 私たちの考え
はじめに
情報社会とも言われるように、最近はインターネットやテレビ、雑誌などの媒体を通して、矯正治療に関する情報がいたるところに氾濫しています。
矯正治療を始めようとお考えの方が簡単に情報を集めることができるようになったのは喜ばしいことではありますが、逆に情報が多すぎて、本当に正しい情報を選択するのが困難になって来たことを危惧しています。
「本に書いてあった」「インターネットで見た」「口コミサイトで絶賛されていた」などの理由で、ご自身の症例には適さない治療法を受け、結局再治療を余儀なくされてしまったケースも少なくはありません。
こういった現状から、私たちは患者さん向けのガイドラインづくりが必要だと考えるようになりました。
ガイドラインは医療現場での診断や治療の補助となるべきものであり、エビデンス(科学的根拠)がある客観的で公正なものでなければなりません。2005年より準備を開始し、紆余曲折ありましたが、2016年GRADE system にもとづいたはじめての歯科矯正分野のガイドラインを作成しました。
このガイドラインは2016年4月現在、歯科矯正分野においてGRADE systemに基づいて作成できる唯一のガイドラインです。
歯科矯正の臨床においては抜歯、非抜歯の考え方や、下突咬合(いわゆる下顎前突)や叢生の矯正治療の開始時期など様々なガイドラインを必要とする問題が存在しますが、そのような問題に対するガイドラインを作成するには、その前段階である、システマティックレビューを作成する事から開始する必要があり、多くの資金と労力と時間が必要になります。
ガイドラインの作成中にも矯正治療は行われていきます。そこで、様々な問題に対する一人一人の専門医の考え方を患者さんに伝えることは患者さんが矯正治療に関わる問題点を理解する一助となるのではないかと考えました。
第1回「抜歯・非抜歯」を始めとし、今後もさまざまなテーマについてアンケートを実施し、サイト上で結果を公表して参ります。矯正治療の実際を知ることで、患者さんの不安や疑問が解消できればと思います。
アンケート結果一覧
- 「抜歯・非抜歯」
- 「矯正治療の開始時期」
- 「矯正治療にかかる費用」
第2回アンケート結果「矯正治療の開始時期(来院時期)」
第2回目は、お子様の歯についてご質問が多い、矯正治療の開始時期についてです。
2012年4月にJSO会員にアンケート調査しました。2012年5月時点での全会員56名中、回答者55名、未回答者1名でした。調査内容は以下の通りです。
回答
1.患者さんが初めて矯正歯科医院を受診する最適な年代(時期)はいつとお考えですか?
※コメントのみ記載。下記「回答コメント」をご覧ください。
2.乳歯列期に治療を開始することがありますか?
3.第一大臼歯萌出期、永久前歯の萌出期(およそ6、7歳から9歳まで)に 矯正治療を開始することがありますか?
4.犬歯、小臼歯の萌出期(およそ9歳~12、3歳まで)に矯正治療を開始することがありますか?
回答コメント
1.患者さんが初めて矯正歯科医院を受診する最適な年代(時期)はいつとお考えですか?
秋山真人(茨城県牛久市 ひたち野矯正歯科医院)
治療開始時期はケースによって様々だと思います。当院では患者様のニーズを考慮して、負担の少ない効率の良い治療方法を提供します。まずは早めのご相談をおすすめします。
朝倉照雄(神奈川県茅ヶ崎市 朝倉歯科矯正)
歯並びの乱れが舌や唇に苦痛を与えているような、日常生活に困ることがなければ3歳以降、気になるとき。
手遅れで受診されるよりも早過ぎる状況であれば治療開始を矯正専門医の管理下で待って、最適な時に開始したほうが良い。
天野憲人(東京都西東京市 天野矯正歯科)
患者さん、親御さんが歯列を気にしたとき。(受診は、初診相談として。)
情報収集を正しく行っていただきたいからです。
有松稔晃(福岡県北九州市 ありまつ矯正歯科医院)
患者さんや患者さんのご両親がかみ合わせや口元に不安を持ったとき。
あるいは、上下前歯部が萌出したころ。
または、永久歯列が完成したころ。
状況によって上記3つのいずれかと言えます。
池元太郎(新潟県新潟市 池矯正歯科医院)
成長期の矯正治療は歯の生え変わり、顎骨の成長を考慮して治療計画を立てることになるため、この時期に診ることができるとその後の計画を立てやすい。
石井一裕(石川県小松市 矯正歯科石井クリニック)
上顎左右中切歯、下顎永久4前歯が萌出した後。
ただし乳歯列でも上顎歯列の狭窄により下顎の機能的偏位が生じている場合は例外。
稲見佳大(栃木県真岡市 いなみ矯正歯科医院)
少しでも気になった時点でいつでも。
適切な治療開始時期は個人差があり、早ければ良いというものではありませんが、初診相談は気になったら早めの方が早く安心できると思います。
大野秀徳(長野県上田市 おおの矯正歯科医院)
何か不安な状況であれば、来院する時期はいつでもいいと思います。早すぎるということはないと思います。専門医であれば適期に必要なだけの治療をするからです。適期でない場合には、当然矯正治療をせず経過観察します。
鬼久保平(埼玉県上尾市 おにくぼ矯正歯科)
本人、またはご両親が矯正治療を希望しているとき (いつでも)。
片上勝秋(滋賀県栗東市 ウイング栗東矯正歯科クリニック)
永久歯が萌出する6歳前後からの治療を勧めています。
6歳頃から12歳頃までの混合歯列期から行う1期治療の目的は、上下顎のバランスや、歯牙と顎の不調和など問題のある骨格からの改善を目的としています。
金井鐘秀(愛知県岡崎市 かない矯正歯科医院)
第一大臼歯萌出開始時期。
矯正治療は、咬合を改善する治療。咬合の基準は第一大臼歯であるため。
兼元廣明(千葉県船橋市 かねもと矯正歯科)
上下顎4前歯萌出時。
上下顎4前歯が萌出した頃には、骨格的にも、歯列的にも不正が目立ち始める頃であるから、この時期に改善する事で、良い発育方向に誘導できたり、永久歯列での本格治療がやりやすくなる。
川端喜美子(埼玉県川越市 三井病院歯科矯正科)
ケースにより時期は異なると思われます。心配であればまず相談を。
北園俊司(鹿児島県鹿児島市 きたぞの歯科矯正)
7歳~9歳。
舌癖、口呼吸、開咬、叢生などの早期の対応が必要と思います。
桑木徹(岡山県倉敷市 くわき矯正歯科クリニック)
7~8歳。
クロスバイトなどは早期に改善するほうが良いと考えるので。
河野力(神奈川県小田原市 こうの歯科)
矯正治療を希望した時。
治療期間の長さや、治療中に患者自身が行わなければ事が沢山あることから、年齢だけでなく本当に希望された方が行うべきだと思います。
小島敏嗣(広島県広島市 こじま矯正歯科)
7~9才頃。
前歯部に不正咬合がある場合、できるだけ正常咬合にしておく。つまりphaseⅠ。
今政宏(神奈川県川崎市 溝口矯正歯科)
12、3歳。
齋藤卓麻(群馬県前橋市 さいとう矯正歯科)
Q2の乳歯列期で治療を開始する場合を除いて、ほとんどの患者さんは、早くても第一第大臼歯、永久前歯萌出期でよいと思います。
桜田明宏(北海道札幌市 さっぽろ矯正歯科クリニック)
患者自身が必要と思った時。
生活の質を向上させたければいつでもよいと思います。
笹川美也子(新潟県新潟市 笹川矯正歯科)
乳歯列が出来上がる頃。
その患者さんにとって最適かどうかわかりませんが、乳歯列が出来上がる頃に診せてもらって早すぎることはないと思います。その時期に治療を開始するケースはほとんどないですが、咬み癖等で下顎がずれていくような傾向がある場合は指摘することができるので。
澤端喜明(富山県富山市 さわはた矯正歯科医院)
前歯または第一大臼歯が萌出する頃が最適と考えます。
第1期(早期)治療の適応であれば治療を行うメリットが大きいので、第1期治療の開始年齢が受診する時期としては最適であると思います。
清水美輝雄(奈良県奈良市 しみず矯正歯科クリニック)
6~7歳で前歯の永久歯が萌出してきた頃に、一度受診して矯正の必要性や開始時期の指示を受けるのが望ましいかと思います。
関康弘(富山県魚津市 せき矯正歯科医院)
歯並びについて気になったときはいつでもどうぞ。乳歯列期に初めて受診されても専門医として診て、その子の矯正治療の最適な時期をお知らせしています。
妹尾葉子(福岡県北九州市 ありまつ矯正歯科医院)
ご本人やご両親が気になられる所があれば、どの時点でも一度受診されるとよいと思います。
また、全体的な機能や審美という観点から言うと、第一大臼歯までの永久歯列が完成した頃に受診されると、スムーズに治療に入れる場合が多いと思います。
鳥巣秀男(神奈川県藤沢市 とりす歯科矯正)
永久歯交換時期。
中川靖郎(神奈川県小田原市 中川矯正歯科)
最適な時期は、症例により異なると考えますが、基本的には永久歯萌出後だと考えます。
中村良司(岐阜県土岐市 中村歯科・矯正歯科)
年齢に関係なく、不正咬合が発現(気がついた、指摘された)した時点でまずは相談するのが良いでしょう。
すぐに治療を開始するのではありません。
のき田邦裕(福岡県久留米市 のきた矯正歯科医院)
はじめての永久歯(上下顎の左右1番)が萌出する頃。
浜崎広二朗(福岡県飯塚市 はまさき矯正歯科医院)
いつが最適かは患者さんの状態によるので一概には言えないが、乳歯列期の矯正はほとんど偏位咬合・交叉咬合でしか行うことはないので、永久前歯の萌出期にとりあえずお越しいただいて、将来の見通しのお話をしておくことがよいと思います。治療開始は基本的には永久歯列期になることが多い。
原省司(新潟県上越市 原矯正歯科)
全て早ければいいというものではないが、気になったりすることがあれば早めに相談することは大切だと考える。治療開始時期はそれから検討していくことになる。初診と治療開始の時期は同じではない。
樋口育伸(福島県福島市 ひぐち矯正歯科)
上の前歯が生え揃ってきた頃。8~9歳ごろ。
成長期の矯正治療は歯の生え変わり、顎骨の成長を考慮して治療計画を立てることになるため、この時期に診ることができるとその後の計画を立てやすい。
廣島邦泰(三重県伊賀市 アイウエオ矯正歯科医院)
基本的には、ご本人または保護者の方が、矯正治療を受けたい、または受けさせたいと思ったとき。しかし、1歳半、3歳半、学校などの歯科健診で不正咬合を指摘され、不安に思われる方も多いので、前歯の永久歯が生え始めた頃に一度相談してみるのもいいと思います。
廣末善久(高知県高知市 広末歯科矯正)
第一大臼歯萌出期、永久前歯の萌出期(およそ6、7歳から9歳まで)に受診するのが最適だと考えるが、実際には歯ならびが気になったり、他者より受診を勧められたときになる。
深町博臣(新潟県新潟市 ふかまち歯科矯正)
患者さんが、気になった時期。
肉体的条件だけをみても、症例により最適な時期は異なります。さらに、精神的受容、経済的状況、社会的環境等様々な要因により、治療時期は影響を受けるので、患者さんがやりたいと思った時、気になった時に来院頂くのが良いと考えます。
藤田邦彦(福岡県北九州市 ふじた矯正歯科医院)
患者さんや親が、歯並びが気になったら、治療を開始するか否かとは別に、適切なアドバイスをする必要がある。
藤田俊哉(秋田県秋田市 ふじた矯正歯科)
親が子供の歯並びについて気になった時点で矯正歯科を受診することは治療開始時期を含め、今後について専門医からより良きアドバイスを受けることができる。その意味では親が子供の歯並びについて気になった時が受診に最適な時期といえるが、初めての矯正治療を前提とした受診となれば、治療開始に適した時期ということで、やはり上下永久前歯と第一大臼歯の萌出期になると思います。
星隆夫(神奈川県相模原市 星歯科矯正)
ご本人、ご家族が気になった時点。
歯並びかみ合わせについて不安になった時点。
かかりつけ歯科医師に治療を勧められた時点。
などがご来院のタイミングだと思います。
歯の生え替わりや、顎の成長など、お子さんの成長と共に色んなことに対して様々な不安や疑問が生じると思います。その不安や疑問を解消することも歯科医師の仕事です。いつでもご来院下さい。
本間研(北海道札幌市 ホンマ矯正歯科)
小学校入学時期。
三瀬駿二(愛媛県松山市 みせ矯正歯科)
簡単な診査は小学校入学時。
宮下勝志(山梨県富士吉田市 宮下矯正歯科)
学問的には永久歯列完成期(12~13歳)頃と考えます。
歯科矯正治療の目的は個性正常咬合の確立と考えると永久歯列の完成期に来院して貰うのが最も効率的で効果的だと思われます。しかし、日本の現状では患者の矯正歯科治療に対する知識の不足により開始時期の理解が得られていません。したがって、正しい情報を与える為には出来るだけ早期(7~8歳ごろ)に来院して頂き、安心を得て貰うのがベターと考えます。
宮本敬次郎(奈良県北葛城郡 みやもと矯正歯科医院)
不正咬合の状態によって時期は異なる。
百瀬保(東京都北区 王子神谷矯正歯科クリニック)
7~10歳。
悪習癖の改善や、それによって生じている成長のコントロール。
山口賢(埼玉県志木市 さとし矯正歯科クリニック)
受診する適切な年齢は特になく、ご本人が気になった時が受診の適切な時期ではないでしょうか。ただし、実際に治療を開始する適正時期はその症状によって異なります。患者さん(あるいはご父兄様)が治療を行う適切な時期をご自身で判断するのは難しいと思われますので、まずは矯正歯科医院でのご相談をされることをお勧め致します。その上で矯正歯科医が早めの治療の必要性があるか、あるいは最適な時期が来るまで待つべきかどうかの判断を行うというのが正しい流れだと思います。
山下博史(神奈川県藤沢市 ドルフィン矯正・小児歯科)
気になったとき。
治療を開始するかは別です。
患者さんの疑問に対応する事で不安を解消します。
山本一宏(神奈川県鎌倉市 カマクラデントフェイシャルオーソピディクス山本歯科・矯正)
骨格性不正が存在しない場合には、永久歯列が完成する12歳前後が理想であると思います。
骨格性不正が存在する場合には、整形治療の可能性から8歳頃治療開始したく思います。
乳歯列で早期治療が検討されるのは骨格性の下顎前突であると思われますが、自然治癒の確率が60%ほどあるといわれますので、ほとんど着手する事はありません。
山田秀樹(富山県富山市 歯科矯正ちどり歯科医院)
気になることができた時。
夕田勉(福岡県福岡市 ゆうだ矯正歯科医院)
不正咬合の状態により、最適な年代(時期)は異なる。
マルチブラケット法では、永久歯列期完了(77萌出)頃に叢生や上突咬合の治療を開始するのが良く、下突咬合や交叉咬合では15歳以上で治療を開始するのが良いと思います。
与五沢文夫(東京都港区 よごさわ歯科矯正)
※注 この質問は矯正医にとってのものか、患者の立場かの違いによります。
保護者が歯並びがおかしいと思ったとき、まずは相談すること。
(治療の必要性の有無の判断のためで、治療開始を意味するものではない)
若松進治(茨城県水戸市 水戸歯科クリニック矯正歯科センター)
患者さんが気になった時点。
患者様一人一人状態が違いますので、気になった時で矯正治療に経験豊富で専門的知識のある先生の受診が必要と考えます。
和栗秀直(千葉県船橋市 芝山台歯科診療所 矯正歯科部門)
症例により異なるが、一般的には小学校高学年と観ている。
(小児歯科専門医の予防矯正を含む)
和島武毅(愛媛県新居浜市 歯ならび矯正歯科医院)
上下顎前歯部交換期。
上下顎前歯部を適正な状態にし、可及的に正常な成長、萌出を促すため。
回答コメント
2.乳歯列期に治療を開始することがありますか?
「ほとんど開始する」と答えた先生のコメント…該当なし
「開始する場合がある」と答えた先生のコメント
秋山真人(茨城県牛久市 ひたち野矯正歯科医院)
当院ではこの時期に不正咬合を放置すると重篤化するケースや生活に支障をきたす恐れのあるケースについて乳歯列期からでも治療を行います。
朝倉照雄(神奈川県茅ヶ崎市 朝倉歯科矯正)
交叉咬合、下突咬合がそのままであると、上下顎の顎の成長に悪影響を及ぼす可能性が感じられる場合に治療を開始します。
天野憲人(東京都西東京市 天野矯正歯科)
ごくまれに、削合や、コンポジットレジンの築盛などで偏位などを是正し、正常な成育に有効と考えられた場合のみ。(めったにありません)
石井一裕(石川県小松市 矯正歯科石井クリニック)
乳歯列でも上顎歯列の狭窄により下顎の機能的偏位が生じている場合。
稲見佳大(栃木県真岡市 いなみ矯正歯科医院)
ほとんどないと思いますが、歯や歯周組織に著しいダメージを与える場合などには行う可能性があり得ます。また、指しゃぶりなどの著しい悪習癖のある方はトレーニングのみ行う場合はあります。
鬼久保平(埼玉県上尾市 おにくぼ矯正歯科)
ほとんどありませんが、側方歯の交叉咬合、鋏状咬合などのために下顎の側方偏位を起こしそうな場合に行うこともあります。
片上勝秋(滋賀県栗東市 ウイング栗東矯正歯科クリニック)
前歯萌出時期が遅れている方や保護者の方の要望があれば乳歯列期からも治療を行うことがあります。
川端喜美子(埼玉県川越市 三井病院歯科矯正科)
Anterior Xbite に関しては早期に(3歳から可能)正常被蓋にし、咀嚼機能の改善、低位舌の改善を図ったほうがいいと考えます。
北園俊司(鹿児島県鹿児島市 きたぞの歯科矯正)
反対咬合の場合、患者の精神年齢が高ければ行ってもよいと思います。
小島敏嗣(広島県広島市 こじま矯正歯科)
前歯部の被蓋改善、また、下顎が偏位している場合、床矯正装置にて治療する時がある。
齋藤卓麻(群馬県前橋市 さいとう矯正歯科)
唇顎口蓋裂など先天異常のある患者さんで、咬合が原因となり発音や咀嚼などの機能に著しい障害がみられる場合のみ治療を開始することがありますが、症例の数は多くありません。
乳歯列期に当科に来院されたほとんどの患者さんは、第一第大臼歯、永久前歯萌出期まで待ってから治療を始めます。
乳歯列期に治療を行わない理由には、
1.患者さんが小さいので、装置を口の中に入れるのを嫌がることが多く、治療の効果が出にくい。
2.せっかく矯正治療しても、永久歯に生え変わるときにもとに戻ってしまう場合がある。
3.乳歯列期と混合歯列期の治療を比べた時、治療の効果や治療期間にほとんど差がない。
などがあります。
桜田明宏(北海道札幌市 さっぽろ矯正歯科クリニック)
早期のうちに矯正治療を行う方が、今後の良好な成長発育に有利になることがあると思います。
笹川美也子(新潟県新潟市 笹川矯正歯科)
ごく稀にですが、あります。
咬み癖等で下顎がずれていくような傾向がある場合です。
中村良司(岐阜県土岐市 中村歯科・矯正歯科)
ほとんどこの時期に治療を開始することはありませんが、まれにあります。たとえば先天的な原因による場合や、骨格的な要因による場合などがあります。
のき田邦裕(福岡県久留米市 のきた矯正歯科医院)
以前、乳歯列の厳しい下突咬合を、この時期から治療を行ったことが2~3例ありますが、その後は行っていない。
浜崎広二朗(福岡県飯塚市 はまさき矯正歯科医院)
偏位咬合・交叉咬合において行うことがある。
原省司(新潟県上越市 原矯正歯科)
基本的には乳歯列期には開始することはほとんどないが、歯列の変形、咬合性外傷、干渉による咀嚼障害などが著しい場合は行うこともある。
廣末善久(高知県高知市 広末歯科矯正)
開始する場合があるとしたが、まれに下突咬合でムーシールドを使用することがある。
深町博臣(新潟県新潟市 ふかまち歯科矯正)
極めて稀ですが、過去に2例だけあります。
2例とも下突咬合症例で、永久前歯萌出までに1~2年程度の時間があると考えられ、短期間(数ヶ月)で改善可能で、改善しておけば永久歯列期での治療が不要となる可能性が高いと考えられ、親の強い希望があった症例です。
星隆夫(神奈川県相模原市 星歯科矯正)
過去の症例では、片側臼歯の交叉咬合(奥歯のかみ合わせが片側だけ反対で咬んでいる)で咬むたびに顎が大きくずらされるお子さんの治療を1例だけ行いました。
あごのずれが少ないお子さんは乳歯を少し削り、注意深く様子を見ていくことで対応し、積極的な治療は行っていません。
その他の不正咬合は原則乳歯列で治療は行っていません。
乳歯の反対咬合のお子さんの何割かは前歯の生え替わりの際に自然に直る方がいます。程度のひどい反対咬合のお子さんの場合は、乳歯列で直しても前歯の生え替わりで反対に戻ってします方もいます。そのため、乳歯列では治療を行いません。
三瀬駿二(愛媛県松山市 みせ矯正歯科)
殆どありませんが、症例(例:乳臼歯部の交叉咬合)によってはあると思います。
宮本敬次郎(奈良県北葛城郡 みやもと矯正歯科医院)
開始するときもある。片側の上下乳歯犬歯によって誘導され、下顎骨が側方へ変位している場合や、骨格性の下顎前突の場合。
百瀬保(東京都北区 王子神谷矯正歯科クリニック)
悪習癖の改善。
山口賢(埼玉県志木市 さとし矯正歯科クリニック)
乳歯列期での治療は、メリットとデメリットの両面をよく考えなくてはなりません。
反対咬合などを例に考えると、メリットとしては(1)発音等を習得する時期に前歯の関係を正すことにより、反対咬合特有の間違った発音習癖が身についてしまうのを防ぐ。(2)短期間ではあるものの、前歯逆被蓋による顎骨の成長への悪影響を避ける、などが挙げられます。
しかしながら、デメリットとして、乳歯列で反対咬合を改善できたとしても永久歯が生えた際にはまた反対咬合が再発する可能性もかなりあります。つまりは乳歯列期での治療がそのまま後の治療を不要にすることには繋がらず、結果的には、二度手間になり、かえって治療期間が長引いてしまっただけという結果になることも。
当院ではそのようなメリットとデメリット両面をよくご理解いただき、その上で治療を行うかどうかのご相談をさせていただいております。
山本一宏(神奈川県鎌倉市 カマクラデントフェイシャルオーソピディクス山本歯科・矯正)
乳歯列で早期治療が検討されるのは骨格性の下顎前突であると思われますが、自然治癒の確率が60%ほどあるといわれますので、ほとんど着手する事はありません。
夕田勉(福岡県福岡市 ゆうだ矯正歯科医院)
乳歯列期に矯正治療を開始するのは、過蓋咬合を伴った反対咬合や交叉咬合の場合です。
与五沢文夫(東京都港区 よごさわ歯科矯正)
※注 極めて稀
治療が必要な症例は極めて稀であるが、必要と判断された場合は行なう。
和栗秀直(千葉県船橋市 芝山台歯科診療所 矯正歯科部門)
遺伝的要素が充分に考察され、乳歯列期より上顔面複合体の拡大が必要と考慮された場合。
和島武毅(愛媛県新居浜市 歯ならび矯正歯科医院)
上下顎前歯部を適正な状態にし、可及的に正常な成長、萌出を促すことで将来的な治療の負担を軽減するため。
「開始しない」と答えた先生のコメント
有松稔晃(福岡県北九州市 ありまつ矯正歯科医院)
最近では、先ずありません。
池元太郎(新潟県新潟市 池矯正歯科医院)
永久前歯が萌出すると自然に改善される不正咬合もある。永久前歯が萌出してきてから治療を始めても結果に大差がないため患者の年齢も考慮すると無用な治療は避けたい。
大野秀徳(長野県上田市 おおの矯正歯科医院)
乳歯列期に相談に来られる患者さん(保護者)もいますが、乳歯列期に矯正治療をしたことは一度もありません。乳歯列期の不正咬合は環境的な原因、食環境や習癖による場合がほとんどなので、そちらの改善を優先すべきと思います。
金井鐘秀(愛知県岡崎市 かない矯正歯科医院)
ない。
永久歯列が萌出してからで、充分に間に合うと考える。
兼元廣明(千葉県船橋市 かねもと矯正歯科)
治療期間が長期に渡る事は必須なので、開始しない。
桑木徹(岡山県倉敷市 くわき矯正歯科クリニック)
きちんとコミュニケーションが取れない事が多いので原則行わないです。
河野力(神奈川県小田原市 こうの歯科)
乳歯列での治療効果がそのまま永久歯列に影響するとは思いません。
今政宏(神奈川県川崎市 溝口矯正歯科)
いいえ。
澤端喜明(富山県富山市 さわはた矯正歯科医院)
患者の協力を得ることが難しい年齢であり、治療を行うことのメリットがあまり無いので開始することはまずありません。
清水美輝雄(奈良県奈良市 しみず矯正歯科クリニック)
まずないです。
せめて就学して矯正治療への理解が得れるようになってからの方が良いと考えますので。矯正治療は、患者様の協力を必要とすることが多い治療ですので。
関康弘(富山県魚津市 せき矯正歯科医院)
永久前歯が萌出してくるときに自然治癒する可能性があったり、混合歯列期あるいは永久歯列期になってからの治療を行うことで結果として生物学的差がないとしたら、多くの場合過剰診療の恐れがあるため、乳歯列期に矯正治療を開始することはありませんが、専門医として診て、その子の最適な治療時期をお答えしています。
妹尾葉子(福岡県北九州市 ありまつ矯正歯科医院)
まずありません。
鳥巣秀男(神奈川県藤沢市 とりす歯科矯正)
しない。
中川靖郎(神奈川県小田原市 中川矯正歯科)
乳歯列期に治療を開始する意味はありません。
樋口育伸(福島県福島市 ひぐち矯正歯科)
永久前歯が萌出すると自然に改善される不正咬合もある。永久前歯が萌出してきてから治療を始めても結果に大差がないため患者の年齢も考慮すると無用な治療は避けたい。
廣島邦泰(三重県伊賀市 アイウエオ矯正歯科医院)
メリット・デメリットをよく考えなければなりません。見た目のみ良くしたいならメリットになるかもしれませんが、(乳歯なので)すぐ抜け替わった、はえてきた永久歯がまた同じような歯列不正になった、装置がなかなか使えずストレスになる、などデメリットも多いので、乳歯列期では私はあえて見守ってあげ、永久前歯が生えてきた頃(7歳頃)に矯正治療を検討するように考えています。
藤田邦彦(福岡県北九州市 ふじた矯正歯科医院)
乳児の矯正治療に対する理解度と、この時期での治療に対しての効果が明らかでないので行わない。
藤田俊哉(秋田県秋田市 ふじた矯正歯科)
ほとんどありません。
本間研(北海道札幌市 ホンマ矯正歯科)
ありません。
宮下勝志(山梨県富士吉田市 宮下矯正歯科)
ありません。
山下博史(神奈川県藤沢市 ドルフィン矯正・小児歯科)
治療する意味がないと考えられる。
回答コメント
3.第一大臼歯萌出期、永久前歯の萌出期(およそ6、7歳から9歳まで)に矯正治療を開始することがありますか?
「開始しない」と答えた先生のコメント…該当なし
「ほとんど開始する」と答えた先生のコメント
片上勝秋(滋賀県栗東市 ウイング栗東矯正歯科クリニック)
前歯萌出時期が遅れている方や保護者の方の要望があれば乳歯列期からも治療を行うことがあります。
兼元廣明(千葉県船橋市 かねもと矯正歯科)
上下顎4前歯が萌出した頃には、骨格的にも、歯列的にも不正が目立ち始める頃であるから、この時期に改善する事で、良い発育方向に誘導できたり、永久歯列での本格治療がやりやすくなる。
小島敏嗣(広島県広島市 こじま矯正歯科)
前歯部の叢生及び反対咬合、上顎前突等の不正咬合を治療しておく必要があると思う。
藤田俊哉(秋田県秋田市 ふじた矯正歯科)
1期治療としては、この時期に治療を開始することがほとんどです。
百瀬保(東京都北区 王子神谷矯正歯科クリニック)
歯列弓の側方拡大や口呼吸、悪習癖の改善。
「開始する場合がある」と答えた先生のコメント
秋山真人(茨城県牛久市 ひたち野矯正歯科医院)
この時期からの治療が患者様の利益につながる場合において治療を開始します。
朝倉照雄(神奈川県茅ヶ崎市 朝倉歯科矯正)
咬み合わせが歯および顎関節に悪影響を与える可能性がある場合に開始します。
天野憲人(東京都西東京市 天野矯正歯科)
Q2と同様で、歪んで発育しそうな場合、必要最小の介入にとどめたいと基本的に考えています。その介入(治療処置で)により正常な歯列育成に有効になるであろうと考えられる時のみ。
有松稔晃(福岡県北九州市 ありまつ矯正歯科医院)
1期治療として、下突咬合や開咬合、前歯部や臼歯部の交叉咬合で機能的な問題を生じている場合は、10ヶ月程度をメドに治療を行ないます。
池元太郎(新潟県新潟市 池矯正歯科医院)
1期治療としてその段階で治しておいた方が望ましいと思われる不正咬合(前歯反対咬合,臼歯交叉咬合など)に対して。
石井一裕(石川県小松市 矯正歯科石井クリニック)
乳歯列でも上顎歯列の狭窄により下顎の機能的偏位が生じている場合。
稲見佳大(栃木県真岡市 いなみ矯正歯科医院)
反対咬合(受け口)や著しく上の前歯が出ている場合、開咬(上下の前歯が咬みあわない)などの場合に、明確な必要性がある場合はこの時期に一度治療を行う場合があります。
大野秀徳(長野県上田市 おおの矯正歯科医院)
早期治療の一番の適期と思います。必要がある場合には治療を行います。
鬼久保平(埼玉県上尾市 おにくぼ矯正歯科)
第一大臼歯の近心傾斜により第二乳臼歯遠心とロックしている場合などほっとくと確実にう蝕となるような症例に矯正治療を施します。
金井鐘秀(愛知県岡崎市 かない矯正歯科医院)
前歯部の反対が、外傷性咬合となり、歯肉退縮が見られるなど、局所の問題が、今後の治療結果のマイナスの要因となり得る場合。
川端喜美子(埼玉県川越市 三井病院歯科矯正科)
反対咬合や顎変位(歯によって誘導されている)、上顎の成長の問題に関しては、上顎成長のある時期に始めるべきと考えます。
北園俊司(鹿児島県鹿児島市 きたぞの歯科矯正)
左右6のアップライト・叢生の改善、鼻呼吸のしやすい口腔内環境を整えるために行うことがあります。
桑木徹(岡山県倉敷市 くわき矯正歯科クリニック)
クロスバイトなどは早期に改善するほうが良いと考えるので。
河野力(神奈川県小田原市 こうの歯科)
6歳臼歯の咬合関係を正しくする事は、将来の永久歯列においては大変重要と考えます。
今政宏(神奈川県川崎市 溝口矯正歯科)
狭窄歯列の場合。
齋藤卓麻(群馬県前橋市 さいとう矯正歯科)
顎の発育に悪影響を及ぼす可能性のある場合(前歯の反対咬合や交叉咬合、臼歯の交叉咬合など)、口唇をうまく閉じることができない場合(著しい上顎前突など)には治療を行います。但し、この時期の治療ですべてを解決出来ない患者さんも多く、その場合には、永久歯列期の治療が再度必要になることを了承していただいて治療を始めます。
桜田明宏(北海道札幌市 さっぽろ矯正歯科クリニック)
早期のうちに矯正治療を行う方が、今後の良好な成長発育に有利になることがあると思います。
笹川美也子(新潟県新潟市 笹川矯正歯科)
第一大臼歯(6才臼歯)の左右的な咬み合わせのズレや、機能的な反対咬合(前歯があたってから下あごが前にずれて咬んで反対になる)、指しゃぶりなどが原因による開咬(前歯が咬みあわない)などは、この時期に治すことがあります。放っておくと、あごのずれが進んだり、歯が必要以上に削れたり、舌を出す癖がひどくなったりすることがあるからです。
澤端喜明(富山県富山市 さわはた矯正歯科医院)
受け口(反対咬合)、著しい出っ歯、開咬(前歯が咬んでいない)、咬むことによって歯がぐらぐらする場合(咬合性外傷)などの場合にはこの時期に開始するメリットが大きいので行います。
清水美輝雄(奈良県奈良市 しみず矯正歯科クリニック)
受け口など、成長が関与するに簡単な装置で矯正を開始した方が良いと判断することがあります。舌や口唇などの筋肉のトレーニング、悪習癖の除去を行うこともあります。
関康弘(富山県魚津市 せき矯正歯科医院)
埋伏あるいは異所萌出のケース等、この時期に治療を行うことで、永久歯列期の矯正治療が不要になる場合や容易になる場合に、半年から1年くらいを目安に短期間で治療を行うことがあります。
この時期はまだ、保護者の要望が強い時期ですが、本人は治療に関する理解ができるようになる時期でもあります。
治療を行うにあたり、(1)いつ何をすべきか、(2)どこまで治療をすべきか、(3)それに費やす期間を明確にすることです。混合歯列期の治療は、その後の大半が何らかの永久歯列期の治療を必要とし、さらに患者自身の主訴というよりは、保護者の主訴で治療が行われることが多いという現実を考えれば、治療期間の設定は非常に重要であり、可能な限り短期間に行われるべきと考えます。
妹尾葉子(福岡県北九州市 ありまつ矯正歯科医院)
その時点で、機能的に問題があると認められる場合(下突咬合、開咬合、交叉咬合など)に部分的に矯正装置を着けて、できるだけ短期間で、不正部分の改善をすることがあります。
鳥巣秀男(神奈川県藤沢市 とりす歯科矯正)
開始することがある。
中川靖郎(神奈川県小田原市 中川矯正歯科)
・早期の前歯被蓋改善
・クロスバイトの改善
・上突の改善
中村良司(岐阜県土岐市 中村歯科・矯正歯科)
反対咬合や萌出してきた歯が極端に回転や位置異常になっている場合などがあります。
のき田邦裕(福岡県久留米市 のきた矯正歯科医院)
下突咬合の前歯に被蓋改善や、著しい上突咬合の場合、治療を開始する場合がある。
浜崎広二朗(福岡県飯塚市 はまさき矯正歯科医院)
下突咬合、交叉咬合、過大な上突咬合において行うこともある。また、後天的な要因が強いと思われる開咬合も行う場合がある。
原省司(新潟県上越市 原矯正歯科)
矯正治療を行うひとつの最適な時期である。
樋口育伸(福島県福島市 ひぐち矯正歯科)
1期治療としてその段階で治しておいた方が望ましいと思われる不正咬合(前歯反対咬合、臼歯交叉咬合など)に対して。
廣島邦泰(三重県伊賀市 アイウエオ矯正歯科医院)
永久歯の反対咬合や開咬合、第1大臼歯の交叉咬合において、顎の成長予測をした上で、矯正治療を行う場合があります。逆に言うと、それ以外、例えば前歯の叢生のみでは、2期治療でまとめて行う方がメリットが多いので、この時期ではしません。
廣末善久(高知県高知市 広末歯科矯正)
状態が悪化する原因を除去できたり、将来2期治療が不必要になる可能性が高い場合など、必要があれば、最小限の1期治療を行う。
深町博臣(新潟県新潟市 ふかまち歯科矯正)
第1期治療として矯正治療を開始する事があります。
第一大臼歯の異所萌出が認められるときや、早期接触があり、下顎前歯唇側歯肉に退縮傾向が認められる時など。
藤田邦彦(福岡県北九州市 ふじた矯正歯科医院)
前歯部の反対咬合、開咬(弄舌癖、弄指癖)に対しては治療を行う。
星隆夫(神奈川県相模原市 星歯科矯正)
前歯の反対咬合、臼歯の交叉咬合(反対咬合)は積極的に直します。
過度の上顎前突(出っ歯)のお子さんで、人や物に歯をぶつけて折れたり抜けたりする外傷の可能性が高いお子さん、また、指しゃぶりや唇を噛むなどの癖の影響で過度に出っ歯になっているお子さんはこの時期に一度治療を行う場合があります。
デコボコだけの場合は永久歯が生えそろうまで経過観察をします。
本間研(北海道札幌市 ホンマ矯正歯科)
上顎骨の成長コントロールが必要な場合開始します。
三瀬駿二(愛媛県松山市 みせ矯正歯科)
あります。
宮下勝志(山梨県富士吉田市 宮下矯正歯科)
顎顔面の発育に悪影響を及ぼす機能的咬合異常がある場合は治療を開始する事があります。しかし、ほとんど第2期治療が必要な事を納得して頂き、最小限で最大の効果が上がるように行う事としている。その他、小児の精神面(いじめ等)に影響のある不正咬合の治療をする事があります。
宮本敬次郎(奈良県北葛城郡 みやもと矯正歯科医院)
開始するときもある。反対咬合の場合や、第1大臼歯萌出不全の場合。
山口賢(埼玉県志木市 さとし矯正歯科クリニック)
混合歯列期における治療は、その意義がある場合に治療を行います。これも一言では言い表すのが難しいですが、(1)永久歯列期での治療が軽減される場合。(2)咬合干渉などが生じていることにより、永久歯列完成前に歯や歯周組織に悪影響(歯の破折、咬耗・咬合性外傷等)が生じているあるいは生じる可能性がある場合には治療を行います。
山下博史(神奈川県藤沢市 ドルフィン矯正・小児歯科)
必要があれば、可能な限り短期間で行う。無意味な歯列拡大等は行わない。
習癖等で変形している場合は、行う場合がある。
山本一宏(神奈川県鎌倉市 カマクラデントフェイシャルオーソピディクス山本歯科・矯正)
アクチベーター他Removable Orthodontic Device による整形効果が期待される場合には、この時期に1期治療を開始する事があります。
夕田勉(福岡県福岡市 ゆうだ矯正歯科医院)
1期治療で矯正治療を開始するのは、前歯反対咬合や臼歯交叉咬合、過度な上突咬合(歯牙破折防止のため)の場合です。
与五沢文夫(東京都港区 よごさわ歯科矯正)
※注 極めて稀
この時期で治療が必要な症例は限られている。その時点での治療が将来の歯列完成時に大きな意味のある場合以外は治療を行なわない。
和栗秀直(千葉県船橋市 芝山台歯科診療所 矯正歯科部門)
上顔面複合体の前方発育を促進せしむ要素が認められる症例。
和島武毅(愛媛県新居浜市 歯ならび矯正歯科医院)
上下顎前歯部を適正な状態にし、正常な成長、萌出を促すことで将来的な治療の負担を軽減するため。
回答コメント
4.犬歯、小臼歯の萌出期(およそ9歳~12、3歳まで)に矯正治療を開始することがありますか?
「開始しない」と答えた先生のコメント…該当なし
「ほとんど開始する」と答えた先生のコメント
片上勝秋(滋賀県栗東市 ウイング栗東矯正歯科クリニック)
はい、勿論です。しかし治療前の状態にもよりますが、叢生が著しい方はこの時期から側方拡大を行っても完全に叢生をなくすことはできない場合もあります。その場合、2期治療として、永久歯列完成後にマルチブラケット装置にて抜歯治療を行いますが、それまで行っていた1期治療が無駄になるわけではありません。
藤田邦彦(福岡県北九州市 ふじた矯正歯科医院)
永久歯列での治療計画が立てられるので治療を開始する。
本間研(北海道札幌市 ホンマ矯正歯科)
下顎骨の成長コントロールの目的から開始します。
百瀬保(東京都北区 王子神谷矯正歯科クリニック)
大臼歯の遠心移動や、歯列弓の側方拡大を行なう。
「開始する場合がある」と答えた先生のコメント
秋山真人(茨城県牛久市 ひたち野矯正歯科医院)
この時期からの治療が患者様の利益につながる場合において治療を開始します。
朝倉照雄(神奈川県茅ヶ崎市 朝倉歯科矯正)
永久歯の萌出をなるべく良い状態にさせたり、上下顎の顎の成長を良い状態にして、後の矯正治療をより順調に、またきれいに行えるように開始することがあります。
天野憲人(東京都西東京市 天野矯正歯科)
Q3と同様ですが、この時期に治療を開始することは殆どありません。
ごくまれに、必要と思われる場合もありますが、通常の場合は動的治療の開始はありません。
観察の開始をする方もあまりありません。患者さんによっては、観察も(動的)治療と誤解している方もおられます・・・
有松稔晃(福岡県北九州市 ありまつ矯正歯科医院)
基本的に永久歯列完成を待って治療に入りますが、2期治療のために必要と判断した場合は短期間の治療を行ないます。
池元太郎(新潟県新潟市 池矯正歯科医院)
Q3と同様。受診される時期によってはこの時期に行なうこともある。
石井一裕(石川県小松市 矯正歯科石井クリニック)
1.1期治療を行う事で2期治療が必要なくなる。
2.1期治療を行う事で2期治療が容易になる(反対咬合など)。
3.1期治療を行う事で上下顎の関係を改善できる(反対咬合、著しい上突咬合)。
4.1期治療を行う事で後継永久歯の萌出を妨げたり悪影響を及ぼすものを改善できる。
5.1期治療を行う事で歯の破折、外傷等の危険を回避できる。
6.1期治療を行う事でくちびるを閉じやすくできる。
7.開咬合。
稲見佳大(栃木県真岡市 いなみ矯正歯科医院)
埋伏歯(歯が埋もれて出て来れない状態)や、咬合性外傷(かみ合わせのために歯、歯周組織がダメージを受けている状態)など特別な状況があれば治療開始する場合もあると思います。ただし基本的に治療期間が無駄に長くなる可能性が高いので治療開始する場合は多くないと思います。
大野秀徳(長野県上田市 おおの矯正歯科医院)
必要がある場合には治療を開始することがあります。
鬼久保平(埼玉県上尾市 おにくぼ矯正歯科)
前歯部、または犬歯などの埋伏に対して開窓牽引を行うことがあります。
金井鐘秀(愛知県岡崎市 かない矯正歯科医院)
機能性の反対咬合。
非抜歯の可能性がある場合。
川端喜美子(埼玉県川越市 三井病院歯科矯正科)
成長を利用できる治療はするべきと考えます。
北園俊司(鹿児島県鹿児島市 きたぞの歯科矯正)
可能であれば第2大臼歯萌出終了まで待ち、2期治療はその後開始します。
桑木徹(岡山県倉敷市 くわき矯正歯科クリニック)
保隙の為に開始することがある。
河野力(神奈川県小田原市 こうの歯科)
治療を開始する場合、大切な事はいくつか有りますが、治療を何時終わりにするか(保定を含め)だと思っています。そのため小臼歯の萌出期から開始して矯正治療がその方の負担にならない様にして行きたいと思います。
小島敏嗣(広島県広島市 こじま矯正歯科)
叢生が軽い場合、患者さんの要望がある場合、できれば上下顎左右側第2大臼歯が萌出するまで経過観察をすすめる。
今政宏(神奈川県川崎市 溝口矯正歯科)
狭窄歯列の場合。
齋藤卓麻(群馬県前橋市 さいとう矯正歯科)
この時期は、歯の萌出状態と顎の骨の成長時期が患者さんによって様々であるため、混合歯列期(Q2の第一第大臼歯、永久前歯萌出期)としての治療を行う場合と、永久歯列完成まで待ってから永久歯列期としての治療を行う場合があります。
桜田明宏(北海道札幌市 さっぽろ矯正歯科クリニック)
ほとんどないと思いますが、ゼロではないと思います。
笹川美也子(新潟県新潟市 笹川矯正歯科)
この時期は、全体の歯並びが出来上がるのを待って治療をしないことが多いですが、特に犬歯などが、おかしな場所に潜っていたり、生える方向が明らかに間違っているような場合は、永久歯列になる前に引っ張る治療を行うことがあります。
澤端喜明(富山県富山市 さわはた矯正歯科医院)
骨格的なずれが大きい反対咬合や偏位が著しい偏位咬合においては成長の見極めが必要ですが、それ以外の症例ではこの位の時期からが治療開始時期と考えます。ただし患者本人の(治したいという)意思が最も重要です。
清水美輝雄(奈良県奈良市 しみず矯正歯科クリニック)
受け口など、成長が関与するに簡単な装置で矯正を開始した方が良いと判断することがあります。 舌や口唇などの筋肉のトレーニング、悪習癖の除去を行うこともあります。
関康弘(富山県魚津市 せき矯正歯科医院)
埋伏あるいは異所萌出のケースなど特別な場合に治療をすることがあります。
妹尾葉子(福岡県北九州市 ありまつ矯正歯科医院)
基本的には永久歯列が完成するのを待ちますが、歯並びの状態には様々なケースが考えられますので、その時点で必要と判断すれば、治療を開始する場合もあるかと思います。しかし、早く治療を始めれば、早く終了するということではありません。
鳥巣秀男(神奈川県藤沢市 とりす歯科矯正)
開始することがある。
中村良司(岐阜県土岐市 中村歯科・矯正歯科)
反対咬合や歯の大きさが大きすぎて叢生になっている場合や、先天的な原因による場合などがあります。
のき田邦裕(福岡県久留米市 のきた矯正歯科医院)
下突咬合の前歯に被蓋改善や、著しい上突咬合の場合、治療を開始する場合がある。
浜崎広二朗(福岡県飯塚市 はまさき矯正歯科医院)
永久歯列期まで待った方がよいが、まれに咬合性外傷がある、あるいは乳歯の欠損があり、その後方歯が近心転位している際など行うこともある。
原省司(新潟県上越市 原矯正歯科)
犬歯や小臼歯の萌出障害に対する治療を行うことが時々ある。
樋口育伸(福島県福島市 ひぐち矯正歯科)
Q3と同様。受診される時期によってはこの時期に行なうこともある。
廣島邦泰(三重県伊賀市 アイウエオ矯正歯科医院)
Q3に同じ。顎の成長のタイミングや歯根の形成段階、第2大臼歯歯胚の位置など個人差が大きいので、その点をふまえていかに効率よく、装置装着期間を短くできるかを予測できるかどうかがポイントだと思います。永久歯列がきちんとした状態で矯正治療を終えるのはもちろんですが、治療後の安定性も(治療前に)考えて矯正治療を開始する必要がありますから、小臼歯、犬歯の萌出期で開始時期を判断するのは、非常に難しく慎重に行わなければならないと思います。
深町博臣(新潟県新潟市 ふかまち歯科矯正)
非抜歯治療が可能で、leewayspace(第二乳臼歯と第二小臼歯との歯冠幅径の大きさの差)を利用したい時など。
藤田俊哉(秋田県秋田市 ふじた矯正歯科)
永久歯での治療が明らかに有利になる(非抜歯ケースになるなど)を除いてあまりありません。
星隆夫(神奈川県相模原市 星歯科矯正)
出っ歯を下の顎の成長を利用して治したい場合はこの時期の後期に治療を開始する場合があります。
1歯2歯程度の不正などで、その部位だけなおせば、きちんとした永久歯の歯列の噛み合わせになる場合に治療を開始する場合があります。しかし、頻度はかなり低いです。
将来的にもう一度治療が必要な反対咬合の患者さんでも、ご本人が強く反対咬合の改善を望んでいる場合はこの時期に前歯の反対咬合を治す場合があります。
臼歯の交叉咬合は治療を開始する場合が多いです。
骨の中に埋まったままで生えてこない歯がある場合、治療を開始する場合があります。
デコボコだけの場合は永久歯が生えそろうまで経過観察をします。
三瀬駿二(愛媛県松山市 みせ矯正歯科)
殆どありませんが、症例によってはあると思います。
宮下勝志(山梨県富士吉田市 宮下矯正歯科)
顎顔面の発育に悪影響を及ぼす機能的咬合異常がある場合は治療を開始する事があります。しかし、ほとんど第2期治療が必要な事を納得して頂き、最小限で最大の効果が上がるように行う事としている。その他、小児の精神面(いじめ等)に影響のある不正咬合の治療をする事があります。
宮本敬次郎(奈良県北葛城郡 みやもと矯正歯科医院)
開始するときもある。骨格性上顎前突の場合や、将来、小臼歯を抜歯しなくていいように第1大臼歯をあらかじめ遠心へ移動する必要がある場合。特に上顎に多い。
山口賢(埼玉県志木市 さとし矯正歯科クリニック)
Q3での回答と同様です。追加としまして、患者さんへお伝えしたいことは、治療開始の適正な時期はその患者さんによって異なります。また、早く治療を始めたからといって早く終わるとは必ずしも言えないということを知っていただきたいです。
山下博史(神奈川県藤沢市 ドルフィン矯正・小児歯科)
成長発育を利用したい症例で行う場合がある。
山本一宏(神奈川県鎌倉市 カマクラデントフェイシャルオーソピディクス山本歯科・矯正)
2×4による前歯の被蓋を改善する事があります。
夕田勉(福岡県福岡市 ゆうだ矯正歯科医院)
この時期に矯正治療を開始するのは、犬歯の位置異常のために44抜歯を行ったり、犬歯の埋伏歯の牽引を行うためです。
与五沢文夫(東京都港区 よごさわ歯科矯正)
※注 極めて稀
永久歯列の完成具合(個人差)によるが、できるかぎり永久歯列完成を待つ。加えて第二大臼歯の萌出が矯正治療終了時に完了しているように計らう。
和栗秀直(千葉県船橋市 芝山台歯科診療所 矯正歯科部門)
上顔面複合体の前方発育を促進せしむ要素が認められる症例の外、口呼吸により著しく上顎歯列狭窄が認められる症例。(所謂アデノイド症例)
和島武毅(愛媛県新居浜市 歯ならび矯正歯科医院)
永久歯萌出完了時期まで治療開始を遅らせたことにより重篤な状態となってしまう可能性がある場合は開始する。
- 「抜歯・非抜歯」
- 「矯正治療の開始時期」
- 「矯正治療にかかる費用」