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抜かない、閉じない、噛めない/不十分な診断

歯を抜かない矯正治療を受けたら、歯並びは良くなったが口元の突出感が強くなり、口を結ぶのが難しくなり、かつ前歯で物が噛めなくなりました。

矯正再治療の前後

再治療を担当したJBO認定歯科矯正専門医
兼元 廣明(千葉県船橋市 かねもと矯正歯科)
転医時の患者さんの年齢・性別
45歳(女性)
前歯科医院での治療
非抜歯での矯正治療
再治療を希望された理由
口元が突出して口を閉じられなくなり、前歯で噛むことができなくなった

前医での治療

歯を抜かないのは良いこと?

来院時の歯並び
こちらの患者さんは、他の歯科医院で“歯を抜かないで”矯正を開始しました。
しかし治療が進むに従い、でこぼこは治って来たが、口元の突出感が強くなり、口を結ぶのが段々難しくなり、かつ前歯で物が噛めなくなって来たことから、治療に疑問を感じるようになったとのこと。

治療前に気になっていた歯のデコボコは取れて、歯並び自体は良くなって来ましたが、噛めないのでは意味がありません。横から見ると口元が前方に飛び出し、力を入れなければ口を閉じることができなくなってしまったことにも不安を感じるようになりました。
お子さんの主治医である小児歯科の先生に相談したところ、かねもと矯正歯科を紹介されたそうです。お話を伺い、当院で再治療を開始することになりました。

かねもと矯正歯科での治療

抜歯矯正で口元を下げる

矯正再治療開始時強く前方へ突出した上下の前歯を引っ込める目的で、上下の左右第一小臼歯(前から4番目の歯)を抜歯してワイヤータイプの矯正装置を装着して治療を行いました。

3年で“噛める”口元に

矯正治療は約3年で終了。結果上下の前歯は共に後ろに引っ込み、口元もすっきりし、楽に口が結べる様になり、前歯で物もしっかりと噛める様になりました。

矯正再治療前の口元と歯並び

矯正再治療後の口元と歯並び

検証

“抜かないでできる”と診断したことが誤りでした

こちらの患者さんのケースは、決して難しい症例ではありません。きちんと検査を行い、歯の大きさとあごの大きさなどお口の状態を把握した上で、歯をどのように動かして行くかの治療計画をごく当たり前に立てていれば、歯を抜かずに治療すれば上下のあごが前に突出することがおのずとわかったはずです。
抜歯治療をすすめたけれど、患者さんが「歯を抜かないこと」を強く希望されたのであれば、歯を抜かないことのデメリット(口元の突出・前歯が噛まなくなるなど)を説明し、きちんとご理解をいただいた上で治療を開始するべきです。

矯正歯科医としてごく当たり前のことが欠如していたため、患者様が再治療を余儀なくされてしまったケースではないでしょうか。

【失敗しない矯正治療】治療を始めるにあたって大切なポイントをご紹介します。